一人暮らしを始め、桃を自分のお金で買えるようになり、初めてした贅沢は桃をそのままかじりついて食べる、ということでした。 なんて野生的で、なんて美味しい食べ方だろうとは、今でも記憶に残っています。
しかし、まあ、それはヒトリの時の愉しみとして、人様には桃を丸ごとお出しするわけにはいきません。 お嬢様のようにお上品に可愛らしく。
桃の優しさ、甘さ、柔らかさを表現するにはどうしたものか?
まず、クリームチーズでは重すぎて桃の存在が薄くなり、もっと軽いチーズを…と探し、名乗りを上げたマスカルポーネがベストマッチング。マスカルポーネと生クリームのムースの層、桃ソースの層と分けることで、マスカルポーネの透明感のあるコク、桃ソースの優しい甘さ、両者の良さがお口の中で溶け合いました。トッピングの桃のコンポートには白ワインを使い、大人っぽく甘過ぎず。
小さな冷酒グラスに盛り付け、思い描いた可愛らしい桃のデザートが完成しました。続きを読む